株主・ステークホルダーと株主至上主義
大学の授業で株主至上主義についてレポートを書いたので、加筆・修正の上で公開します。
株主とは、会社に出資した代わりに株式を受け取った者のことであり、会社に対して様々な権利を持つことができる。自分が持っている株式の数に応じて、会社の利益の一部を配当金として受け取れたり、その会社の自社製品や施設利用券などが受け取れる株主優待や、株主総会で意見を出したり、重要な決議に投票できる議決権などがある。
一方、ステークホルダーとは利害関係者のことであり、株主だけでなく、経営者や従業員、取引先のほか、金融機関、行政機関などが当てはまる。
従来の株式会社制度では、会社法に基づいて株主至上主義の規整方針が採用されてきた。株主至上主義とは、企業は株主の利益を最優先に考えなければならないという考え方のことであり、米国では1970年代から次第に広まり、日本でもバブル経済の崩壊後、企業の収益力を立て直す考え方として広まった。
もともと経済を効率的に動かすための理念だった株主至上主義だが、2008年のリーマンショック以降はその流れが変化してきた。その理由として、株主と企業経営の時間軸の違いがある。株主は短期的な利益を求めることが多く、株主への配慮が過ぎると、企業は目先の利益の維持・拡大にとらわれて、長期的な観点からの経営がおろそかになってしまうのだ。
また、社会との共生が意識されるようになったことも関係している。利益優先で環境に負荷をかけたり、人権保護の理念を逸脱したりする企業の行動が問題視されるようになってきた。社会や地球環境あっての企業活動であるため、株主だけでなく社会や環境、従業員などを含むステークホルダー全体を重視すべきだとする声が強まってきているのだ。
私自身も、「株式会社企業経営については株主よりもステークホルダーの利益を重視すべき」とする考え方に賛成だ。なぜなら、前述のように企業活動は株主だけのものではないからだ。
昨年9月、大手百貨店のそごう・西武が流通最大手のセブン&アイホールディングス(以下、セブンアイ)から投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループ(以下、フォートレス)に売却された。セブンアイからフォートレスへの売却を巡っては、そごう・西武の旗艦店である池袋本店の改装計画(※)を巡って、新株主であるフォートレスと、池袋本店の立地自治体である豊島区、そごう・西武の労働組合などが激しく対立した。ターミナルデパートである池袋本店は街の顔であり、立地する豊島区と、そこで働く従業員も重要なステークホルダーである。フォートレスの立てた百貨店売場の半分を家電量販店にするという改装計画は、街の顔としてターミナルデパートの存在を重視する豊島区と、百貨店の縮小による収益悪化と人員削減を危惧する労働組合の意見を軽視しており、ステークホルダーよりも株主の利益を最優先とする株主至上主義に基づいた計画であるといえる。(※)池袋本店の土地・建物を家電量販店大手のヨドバシホールディングスに売却し、ヨドバシのテナントとして営業継続するもの。そごう千葉店と西武渋谷店の土地・建物の一部や子会社株式などを合わせて3000億円弱で売却された。売却スキームを通じた債務整理によって、業績低迷に苦しむそごう・西武の財務状態は大幅に改善するが、池袋本店の売場面積は現状から半減する見通しで、婦人服などの衣料品や服飾雑貨の自社売り場を大幅に縮小し、高級ブランドや化粧品、デパ地下の食品に特化した店舗に改装される予定。
アメリカの企業経営者団体によって採択・宣言された、株主よりもステークホルダーの利益を重視すべきとする考え方は、アメリカでしか通用しないものではない。上記の事例からしても、日本においても株主至上主義からステークホルダーの利益を重視する考え方に転換していくべきである。
日本取引所グループ“株主とは?”https://www.jpx.co.jp/tse-school/learn/02.html
三井住友カード“ステークホルダーとは?ビジネス用語の正しい意味と使い方”https://www.smbc-card.com/nyukai/magazine/fremaga/career/stakeholder.jsp
日本経済新聞社“株主至上主義どうなった? 環境や従業員も大事に(ニッキィの大疑問)”日本経済新聞 夕刊(2023/02/20)
日本経済新聞社“セブン&アイの誤算 ステークホルダー経営、高い壁”日本経済新聞 朝刊(2023/09/01)
日本経済新聞社“西武池袋、高級路線に改装 「ハイブランド」「デパ地下」に特化”日本経済新聞 朝刊(2023/12/29)

【日本初のウォークスルー路面店】CATCH&GO(CeeU編②)
CATCH&GO

CATCH&GOは、利用者がスマートフォンを店舗のゲートにかざして入店し、購入する商品を手に取って退店するだけで決済が完了するデジタル店舗出店サービス。2021年9月にはNTTデータ社内に出店していたが、一般路面のスーパーマーケットに併設されるウォークスルー店舗は日本初となる。

店内の品揃えは弁当や菓子、日用品などコンビニエンスストア、とりわけ小型の駅ナカコンビニのそれに近い。
店内の入り口にはゲートが設置されていて、スマートフォンのアプリの二次元コードを読み取ることでゲートが開き、入店することが出来る。商品を選んだらそのままゲートから出るだけで決済が完了する。

レジを通す必要がなく、短時間で買い物が完了するため、買い物をした感がなく便利だった。ただ、レジ作業がないためもしかしたら万引きしてしまったのでは・・・。と心配になる(ちゃんと決済されていた)。

少子高齢化が進み人手不足が顕在化するなかで、ダイエーとNTTデータのCATCH&GOがどう発展していくのか注目です・・・。
CeeU編①↓
撮影日:2023年11月13日
【店舗情報】
住所:神奈川県横浜市西区南幸2-16-1(イオンフードスタイル横浜西口店併設)
アクセス:各線「横浜駅」西口より徒歩5分
ダイエーが運営するイオンフードスタイル横浜西口店内にウォークスルー店舗「CATCH&GO」をオープン | ニュースリリース | 株式会社ダイエー
【10/27開業】イオンフードスタイル横浜西口店(CeeU編①)
イオンフードスタイル横浜西口店

2019年に閉店したダイエー横浜西口店(←サンコー)跡地に開業するCeeU Yokohamaのグランドオープンに先駆けて、10/27先行オープン。屋号はイオンフードスタイルとなっているが、㈱ダイエーが運営するスーパーマーケットであり、れっきとした再出店である。

売場面積は約453坪で、ダイエーの都市型スーパー標準タイプである豊洲店(299坪)や売場の構成が特殊な西新宿店(276坪)、旧赤羽店別館に移転した赤羽スズラン通り店(200坪以下?)と比べるとゆとりがあり、品揃えも充実している。

壁面は店舗の入り口から農産→畜産→水産→惣菜→ベーカリーとなっている。

ベーカリー売場はイートインが隣接していて、ダイエーグループのクレープ店ディッパーダンも出店している。

レジはキャッシュレス専用のセルフレジが19台(←!?)と現金可のセルフレジが5台、支払いセルフの有人レジが3台設置。

フラワーも取り扱い。需要があるんだろうか?
ディッパーダンの効果か、若いお客さんも多い印象。一旦閉店したダイエーの店舗が復活してくれるのは嬉しいですね。
②ではCATCH&GOを紹介します。
CeeU編②↓
tashumi-student.hatenablog.com
撮影日:2023年11月13日
【店舗情報】
アクセス:各線「横浜駅」西口より徒歩5分
【1/31閉店】イオン伊勢原店
イオン伊勢原店

1982(昭和57)年の6/24に忠実屋として開業。その後ダイエーを経て、2016年3月にイオンに移管された。

フロア案内はダイエー時代のものが残る。5階のスイムクラブは既に閉鎖されていた。地下は駐車場となっている。

食品売場はあまりみないサイン類が使われている。いつの時代のものなのだろうか?床のデザインは以前訪問したグルメシティ大根店と色違い。

1階にはイートインが設置されているが、以前は飲食店が営業していた。その痕跡は外側から見るとよくわかる。


イートインは2か所に分かれていて、片方ではファストフード店の一口茶屋が、もう片方ではマクドナルドが営業していたらしい(マクドナルドはダイエー時代に閉店)。ここで使われている机と椅子、ドムドムやディッパーダンでよく見かけるものですね。


階段。ここにもダイエー時代の面影が残る。踊り場の階の案内は忠実屋時代のものだろうか?ご存じの方いらっしゃったら...。

1階と2階の間には吹き抜けがある。最近のスーパーではあまり吹き抜けを見かけないですね。


店舗再編時にダイエーに残留した店舗は食品特化が進む一方で、イオンに移管された伊勢原店は衣食住フルラインのGMSとして継続。ただ、売場の陳腐化は否めない。


直営売場が残っている一方で、西松屋やキャン★ドゥなどのテナントも入居している。

外にもインフォメーションが。かなりくたびれていて、今にも倒れそう(?)。
全体的にダイエー時代の面影が残っていたが、それはすなわち最近大きな改装がされてこなかったということ。床も持て余し気味で、全体的に陳腐化も否めない。
10月7日、イオン伊勢原店が建て替えのため一時閉店することが発表された。
イオン伊勢原店、建て替えで一時休業へ ニーズに応じた店舗に | カナロコ by 神奈川新聞
(2024/1/7追記)店頭で1/31を以て閉店する旨の掲示があったようです。
建て替えが決まったことは、今の店の様子をみるとプラスに捉えていいのではないか。忠実屋としてオープンしてから40年以上にわたり地域に愛されてきた伊勢原店。訪問はお早めに。閉店しました。
撮影日:2023年10月17日
【店舗情報】
住所:神奈川県伊勢原市白根630-1
【12/31閉店】グルメシティ大根店
グルメシティ大根店

1977(昭和52)年の12/9に忠実屋として開業。その後ダイエーを経て、現在はグルメシティとして営業している。

名前を変えながら約45年にわたり営業してきた大根店も、今年いっぱいでの閉店が決定。

1フロアは広く取られていて、食品売場も少しゆとりを感じる。近年改装された形跡はないものの、売場は綺麗に保たれていて、一昔前ダイエー(グルメシティ)の雰囲気を残している。


1階ではほかに医薬品と化粧品、自転車売場があり、自転車売場の名称であるtouchは最近のダイエーの食品特化でほとんど見なくなっている(県内だと鴨居店くらい?)。

2階は早くも閉店ムードで、多くの商品が割引価格で販売。大根店はグルメシティながら、布団なども販売していて、ノンフーズの取り扱いも豊富。


閉店まで2か月を切ったグルメシティ大根店。訪問はお早めに。
撮影日:2023年10月17日
【店舗情報】
住所:神奈川県秦野市南矢名2-5-20
【7/28開業】イオンスタイル赤羽
イオンスタイル赤羽

2020年に閉店したイオン赤羽北本通り店(←ダイエー←Dマート←ディスパ←忠実屋)跡地に7月28日に再開業した。

2フロアの売場構成で、イオンの直営売場のほか、9/10に閉店したダイエー赤羽店に入居していたヤマダデンキや旧店時代に入っていたドムドムハンバーガーが復活。



ドムドムは店内もかなり凝っていて、ドムぞうグッズも販売している。

1階は食品売り場となっている。サイン類はダイエーや以前のイオンリテールのものとは異なるものが採用されている。
食品売場は旧店の1.6倍に拡大。9月に閉店したダイエー赤羽店と比べても、広々した印象を感じる。

冷凍食品売場も広く取られ、品ぞろえが充実。


レジゴーが採用されている。サポートレジのほか、セミセルフが3台、セルフレジが6台、レジゴーを5台設置。

2階はイオンの直営売場のほか、家電量販店のヤマダデンキと百均のキャン★ドゥが入居。

直営売場では、化粧品や生活用品を取扱。衣料品は肌着など最低限の品揃えに留められている。

ヤマダデンキはダイエー赤羽店内で営業していた店舗が5月に閉店しているため、事実上移転した格好となる。

キャン★ドゥは2020年にイオングループとなっていて、最近ではイオン系列の商業施設への出店や商品の供給が活発化している。

イオンスタイル赤羽について語るうえで欠かせないのが、9月10日に閉店したダイエー赤羽店の存在である(過去記事参照)。
tashumi-student.hatenablog.com
ダイエー赤羽店は1969年に開業したダイエーの関東進出の先駆けともいえる店舗で、一度建て替えを経て50年以上営業を続けてきた。
しかし二度目の建て替えに伴い閉店が決定。代替店として隣接地で営業していた別館のスペースに移転オープンしたのが赤羽スズラン通り店である。しかし、旧赤羽店がテナントを含めるとおよそ2000坪の売り場面積があったのに対し、スズラン通り店の売り場は見た感じおよそ200坪ほど。移転というより、別店舗と考える方が自然かもしれない(ただ、客入り自体は順調のようだ)。

イオンスタイル赤羽に話を戻すと、イオンスタイルがある場所では、建て替え前イオン赤羽北本通り店が営業していた。今回はそれの建て替え案件なのだが、大幅に売り場を縮小した駅前のダイエーに対し、イオンはダイエー内で営業していたヤマダデンキを受け入れ、ダイエー赤羽店とおなじSSM業態として帰ってきた。
このため、イオンスタイル赤羽は運営会社こそ異なるものの、建て替えのため閉店したダイエーの機能を移管した後継店と考えることもできるのではないだろうか。

何はともあれ、装いもあらたに再出発を果たしたイオンスタイル赤羽。
旧店以上に地域に愛されるお店になることを願っています。
撮影日:2023年9月25日
【店舗情報】
住所:東京都北区神谷3-12-1
アクセス:東京メトロ南北線 「志茂(しも)駅」1番出口より徒歩5分、JR線「赤羽(あかばね)駅」南口より徒歩15分
【10/31閉店】西友小手指店

1981年6月、面積3630坪の大型店として開業。西武都市開発(後の西洋都市開発)による総合開発に連動する形で、所沢は出店したダイエーとの差別化を図った「質販店」と位置付けられた。

(引用元:由井常彦.セゾンの歴史 下巻 変革のダイナミズム.リブロポート.1991年)
2023年現在は改装を経て普通のスーパーに落ち着いていたものの、西友の経営史において、「量販店」から「質販店」へという理念に沿った転換点として戦略的重要性を持った。


直近の改装は2020年に実施され、店内も築年数ほどの古さを感じない。むしろ昔の面影を見つけるのが難しいレベル。

立体駐車場に隣接する白い壁は、かつてドライブインシアターがあった頃の名残。閉店まで撤去されずに残っていた。

建物は長方形の構造で、非常階段を四隅に配置。階段を建物デザインに組み込んでるのは、同年代のセゾングループの商業施設に通ずるものがある(?)。


西友の中でも屈指の優良店であり、セゾングループの歴史の中でも重要な役割を果たしていたが、昨今の西友の経営方針の転換もあり再開発が決定。直近の改装から約3年での閉店となる。


敷地の規模と築年数を考えると、再開発も止むなしだが、改装から日が浅いだけに、もったいないと感じてしまう。


オープンから約42年間、西友とセゾングループの栄枯盛衰を見守ってきた小手指店も訪問日翌日の10月31日18時をもって一旦幕を閉じる。


さようなら。また会う日まで・・・
訪問日:2023年10月30日
前回のブログ投稿からだいぶ日が空いてしまいました…。またぼちぼち投稿再開していけたらなと思っています。
参考文献:由井常彦.セゾンの歴史 下巻 変革のダイナミズム.リブロポート.1991年